痴漢

I子ちゃんの家の近くは繁華街の裏にある静かな住宅街というか、大学もある所。変な痴漢が出没するらしい。
I「帰り道で、後ろから走ってくる足音がしたの。チラッとみたらスーパーの買い物袋もっていたから安心してたら、追い抜いた男が振り向いてジッパーさげて取り出して見せるのよ。そんなもん初めて見る訳じゃないけど、どうすりゃいい?」
63「蹴とばしたら?」
I「見たくもないから、蹴飛ばそうかと思ったけど、汚れるような気がして」
63「あー小さいとか言って、後はシカトしたら?」
I「朝の5時でもね、車の陰でゴソゴソしてるのよ。何かと思って振り向いたら見せつけるの。あれって何が面白いのかしら」
63「女の子が恥ずかしがってキャーとか言うのが面白いんじゃない?でも、見せるだけなら害はないけど、エスカレートして触らせたりするようになると、やばいね」
63「ユカちゃんも可愛いから狙われそうだね?」
ユカ「私も電車から降りたら、若い男が後を付いてくるんですよ。ヤバイ家を突き止められたら最後だと思って、できるだけ遠回りしたんです。それでも付いてくるからコンビニに入って、男も入ってきたから、すぐ外に出て店の前でじーっと男をにらみ付けていたんです。男は諦めたようで、帰っていったから絶対大丈夫というくらい離れた所で反対方向にダッシュして逃げました」


I子ちゃんは最近山手線を利用するようになった。しかもラッシュアワー。痴漢の被害もたびたび。
I「目が合うとダメなのよね。狙われちゃう。しかも時間がなくて、入り口の近くに乗った時。身動きできないし、ほんと頭に来る」
63「手をつねったりしないの?」
I「気持ち悪い。痴漢の手なんか触りたくもない」ユカちゃんも頷いている。
ユカ「山手線て痴漢が多いと聞きました」
I「そうね。この前なんか前からやられたわ。普通はみんな同じ方向向いて乗り込むでしょ。そいつイラン人みたいな感じの外国人だったけど、一人だけ後ろ向きに乗り込んで、私と向かいあわせ。体をピッタリくっつけて、触ってくるの。我慢出来なくて新宿でおりて別のドアに乗ったわよ」
63「国元では、女性に近づく事もできないのに、日本じゃさわり放題。天国だと思っているんじゃない?」
I「カバンがお尻に当たった時でも、本当にカバンの角かどうか確認しちゃう」
ユカ「カバンを持った手の甲でお尻に触る知能犯もいますからね」
I「手の平じゃなくて、手の甲なら痴漢にならないと思っているんだ。ずるーい。6-30は大丈夫?」
63「6-30は片手つり革で片手に本やから(慌)」
I「あー声が裏返ってる。(笑)」
63「女の子が『イヤー』とか『痴漢』とか言ってくれれば、『コイツ何すんね』と声かけられるけど、カップルが向き合ってイチャイチャしていても、見ない振り。話を聞いていると朝帰りなんだね。沿線にアパートが多いからホテル代節約してるんだ。前から狙う痴漢の時は、痴漢かどうか分かんないよ」


経験豊富で男には負けないと思っていたI子ちゃんでも痴漢に遭うと声が出せない。それをいいことに痴漢はやりたい放題。というか不思議な落ち着いた色気があるんだろうなI子ちゃん。痴漢に狙われやすい。