キツネとタヌキの化かし合い

 おモーさまが「トーマの心臓」を連載し始めた時に、読者アンケートの結果が悪くて山本副編集長
から連載打ち切りを言われたのに、もうすぐ終わるからとかわし続けているうちに、「ポーの一族
の初版3万部が3日で売り切れとなり、「トーマの心臓」も徐々に人気がでてきて最後まで続いた
という話を読んで、まるでキツネとタヌキの化かし合いだなと思いました。
 花の24年組の才能を認め、好きなように描かせるとという、まるでタヌキのように太っ腹な
山本副編集長が、キツネ顔の美女のおモーさまをうまくだまくらかして名作を描かせたんだと。
山本副編集長のイメージは、海堂尊さんの小説にでてくるゴンちゃん(高階院長)にピッタリです。
 スター・レッドの時も編集が突然連載を依頼しに来て、カラー予告の締切を3日後に指定され、先を
考えぬまま1話を描き、2話を描きと続けて、かろうじて最終回でまとまったという苦労話が小学館文庫
(1983年旧版)第1巻の巻末あとがきに記されています。
 ホンマに童話の中の、だますつもりがだまされるキツネのようなおモーさまですね。