お年寄りとペット

「イヤー、参っちゃった。近所のお年寄りのお友達が緊急院しちゃってね。その人の飼い猫の世話をするのが大変なのよ。朝夕毎日2回、食事と水とトイレの砂の世話をするのね。猫は22歳!と8歳なの」
「えー22歳なんていったら人間にしたら100歳以上でしょ?」
「そうなのよ。しかも今朝なんか22歳の方の行方が分からなくなってね。どこかで死んでいるんじゃないかと思って必死で探しまわったわよ。押入がちょっとだけ空いていたので。もしやと思って襖を開けたらその中にいたけど」

「よかったねー、見つかって。猫は死期を悟ると、姿を隠すと言うでしょ」
「そうよ飼い主が戻ってきた時にいなかったらどうしようと思った」
 
「トイレの砂と言っても、紙砂でしょ?」
「そう固まった分を捨てて、周りの散らばったのを掃除して足らない分補充するだけなんだけど、30分はかかるわね。私だって今は良いけど、来月は出張もあるし、誰かバイトで世話してくれる人を捜さなきゃ」
「子どものいる主婦がいいんじゃない?朝は早いし。近所の人がいいよね」

 
「つくづく思ったね。お年寄りが1人で暮らしていてペットを飼うのは考えものだなと。だってペット飼うのは癒しで良いけど、健康でないとね。入院したら誰が面倒見るのよ。それに友達は退院しても車イス生活になると思うけど。そしたら、そのマンションに住めないでしょ。古いからバリアフリーじゃないし扉は狭いし。どこか介護施設に入ったら、そのペット飼えないじゃない。誰か身内の人の所に行ってもペット禁止かもしれないし。本当にペットがかわいそうよ」

 
つくづく難しい問題です。家族とか福祉とか介護とか、お金があれば世話は見て貰えるけど、お友達やペットから切り離されるというのはお年寄りには辛いと思います。