最後の晩餐

63「ミナタンは元住吉について詳しいよね?駅前の商店街に能登屋ってあるでしょ。あそこのさつま揚げって凄く美味しいて聞いたけど、どうなの?」
ミナ「能登屋の場所は、よく知ってますよ。でも、あまり買い物したことないな。そんなに美味しいんですか?」
63「昨日スナックでね。お隣にすわったお客さんが『死ぬ前に最後に何か好きな物を一つ食べていいと言われたら、元住吉の能登屋のさつま揚げが食べたい』って」
ミナ「じゃー、今度買ってきて食べようかな」
63「ミナタンが、連れて行ってくれたらご馳走するよ。一緒に食べたいな」
ミヤ「6-30さんはグルメだから、美味しいものには目がないんですよね」
63「はっきり言ってC級グルメ。ミヤちゃんは最後の晩餐に何を食べたい?」
ミヤ「何がいいかなー。ウーン、考えた事がないから思いつかない」
ミナ「私も今までで一番美味しいと思ったのは何だろう?」
63「そのお客さんの連れの方は、映画好きで、『死刑囚が自分の手作りのカレーを食べた死にたいと言った場面が忘れられない』。もう既に亡くなったお母さんの手作り料理なんかリクエストされたら刑務所も困るだろーな」
ミナ「手作りかー。彼氏が私の手作りを最後に食べてから死にたいて言ってくれないかな?」
63「大丈夫だよ。今日の5品の突き出し、ミナタン・スペシャル美味しかったよ。ナガイモの千切りも苦労の跡が偲ばれるような出来だった。包丁の切れ味良すぎるから大変だったでしょ?怖くなかった?」

今日は久しぶりに居酒屋のマスタが、スナックのソファで眠り込んでた。昨日の晩にお酒飲んだんだよね。今は罰金が高いし、事故も怖いし、(ママも怖いし)マスタは酒を飲むとすぐに泊まり込んじゃう。
空になった一升瓶が少なかったし、連休明けはお客も少ないだろうから、「ママが来るまで寝かせて置いたら。6−30は酒さえあればいいから」と言ったら、優しいミナタンは申し訳無いとミナタン・スペシャルの突き出しをつくってくれたんだ。去年の正月はマスタが酔っ払っていて店を閉める事が多かったな。シャッターも半分くらい下ろして。マスタはひっくり返っているから、バイトの女の子がショウガを刻んでくれたりして、いい想い出。