相見積

N先生、怒ってた。「私も、相当非常識だとは思うけど、他の先生達もっとひどいのよね。来年の修学旅行の相見積取ったけど、一人1400円も高い方に決めたの。総額2万円だから、7%も高いのよ。まさかと思って5年の主任に理由を聞きに行ったら、『スケジュールが一週間早いから』って。野外学習が終わったばかりで、校長や養護の先生はぶっつづけよ。かえって一週間でも遅いほうがいいワ。アタマに来たから、『高い方に決めたのがバレたら、リベート貰ってるんじゃないかと疑われてもしょうがないわね。』と5年の学年主任を脅してやった。教頭も金銭にルーズだから、学年会議に参加してても何もいわずに、日取りだけを企画会議に発表するのよ。校長が選考資料持ってこいって言って分かったの。デモね、校長もいい顔したいから、『高い方か』と言っただけで差し戻さないのよ。」

6−30「大体、相見積を取る意味が分かってないんだー。随意契約では疑われやすいし、少しでも親の負担を軽くするために安くしようと相見積するのに。相見積もりを取る事で正当な手続きが済んだと思ってるんだ。それにPTAの役員や兄弟のいる親が気が付いてからでは遅いんじゃないかな。J×Bに決めたとしても、実際には手数料だけとって、安い見積を出した観光バス会社に丸投げしたりして。笑い事じゃ済まないよ。140人として総額で20万円も違うから、疑われてもしょうがないねー。修学旅行だから添乗員がつくわけでもなし。旅館も同じだったりして。サービスに差があるて言えないものね。校長さんの監督責任になるなー。」

N先生「明日、校長さんを脅かしてヤロー。新聞ザタになってからでは手遅れですよって。最近は私しかうるさく言わないから、みんな敬遠して私をつんぼ桟敷にするのよね。せっかく問題が起こる前にチェックしてあげるのに。責任は私にはないけれど。でも問題がおこったら尻拭いは私の所に廻ってくるのよ。親への説明(担任の仕事)とか、教育委員会への言い訳(校長の仕事)考えたり」

6−30「そうだね。校長さんもアレッと思っても、なにか口実なり理由がないと、言い出しにくいかもね。費用のことだけじゃなくて、養護の先生の体の事も付け加えた方がいいと思うよ。」


3日後、N先生「この前の修学旅行の件、どうなったと思う?校長さんがね、『高い方に決めるには、それなりの理由がないとなー。それに旅行についていく養護の先生の体のことも考慮しなさい』て差し戻したの。そしたら教頭さん顔色がみるみる変わって『JTBなんかは高いけどサービスがいい』。所が実際は、M観光バスとG観光バスだったの。JTBは関係ないのに引き合いに出して。『6月後半は天気も悪いし』別に修学旅行は遠足と違って、少々天気が悪くても台風でもない限り、お天気は関係ないのにねー。教頭さんて、こんな人なんだーと思った。」

6−30「それは多分、教頭が自分のメンツをつぶされたと思ったんだよ。本来自分がチェックすべきことを
見逃していて、上司からみんなの前で叱責されたように受け取ったんじゃないかな。だけど管理職なんだから、やるべき事はやってもらわないと。でも校長先生は感性で動いているみたい。N先生がきちんとフォローしてあげないと。行き過ぎた時は、プレーキかけて。きちんと根拠や理由を示してあげないとヤバイね。」

N先生「そうなのよねー。みんな私が陰で校長動かしているとか、校長は私の言いなりになっていると思ってる見たい。迷った時は真っ先に相談にくるしさー。何か問題があると『N先生が、こう言ったので』て私を引き合いにするの。まったく、たまった物じゃないわ。」

6−30「それは校長さんがN先生を、それだけ信頼してるんだよ。」

N先生「校長になる前に昔4年間同じ学校にいて、困っているときに助けてあげたことがあったけど。そのときの記憶がのこってるのかな?」

6−30「情けは人の為ならず。だね。」